ある日、私の携帯のメールに「読んでください。どう思います?」という題の文章が仲良しの指導者から届きました。
全文掲載させてもらいます。
子供のプレーの多くが監督・コーチなど大人に指示されたものであるなら、それを忠実に実行することは自己表現とは呼べません。子供は大人の身代わりになってフィールドに立ち、大人の考えたことを再現する操り人形にすぎないのです。私は、このように子供が自らの判断を持たず、大人の言うなりにプレーすることを、「調教」と呼んでいます。「調教」という言葉で思い出すのはサーカスの熊です。熊は客を楽しませようと自分なりに工夫したり、よりよい演技をしようという向上心を持つことはありません。熊は毎日、強制的に調教された動きを反復することしかできません。
繰り返し反復して訓練されたことを表現するという意味では、調教された動物の動きとスポーツのプレーは表面上は似ています。しかし、決定的な違いは、スポーツではプレーする本人が自ら考え、工夫するということです。それは、人間にしかできないことです。だからこそ、人間だけが、体の動きを「スポーツ」という形にして楽しむことができるのです。言い換えるなら、子供に動物を調教するようにスポーツをさせるなら、それはとても非人間的な行為であるということもできます。実際、大人に言われるがままにプレーすることは、子供にとって楽しいどころか、むしろ苦痛であるはずです。しかし、その苦痛をまぎらわせる「麻薬」があります。それが「勝利」なのです。
どんなにプレーそのものがつまらなくても、あるいは自分の思いどうりにプレーできなくても、最終的にチームが勝利し、自分が勝利者の一員になるという瞬間があると、苦痛は忘れてしまいます。特に少年時代は、まだスポーツプレーの奥深さを知るには経験不足で、自分が工夫できた喜びや、技術、戦術を駆使できた喜びといった、高度な充実感を得ることはできません。そのため、少年たちの喜びの比重は、最も身近で簡単な「勝利」に傾くことになります。自分やチームのプレーの内容を省みるよりも、「勝つか負けるか」という、最も単純な部分に関心が集まるのです。子供の中では、勝つことこそが全てなのです。勝利するのであれば、あえて「つまらない」ことにも耐えていけるようになります。
こうして、ただの勝利という麻薬に溺れて「調教」されることを受け入れていくと、やがてその子供はスポーツで最も重要な「自律」の能力、つまり自ら考え工夫し、自分をコントロールしていく能力を弱めてしまうことになります。指示に対しては忠実に遂行できるものの、自分の判断を迫られるような局面になると応用力が発揮できない人間になってしまいます。集団のなかの「駒」として機能することはできても、「個」としての存在感が示せない人間になってしまいます。それは、長じて成熟した大人のスポーツを行うようになったときに、最も役に立たない選手として認識される姿なのです。
子供にプレーを判断させながらチームをつくるよりも「調教」した方が、少年スポーツでは間違いなく勝利には近いでしょう。また、子供自身も勝利することで不満の多くを昇華させてしまいます。ですから、少年時代という短い期間だけを切り取るなら、たとえ「調教」されるような環境であっても、チームが勝ってさえいれば楽しく満足したスポーツライフと感じられるかもしれません。しかし、そうやって「調教」された子供は、人間として、スポーツマンとして、最も大切なものを置き忘れて育ってしまうのです。
-スポーツは「良い子」を育てるか、永井洋一、生活人新書-
選手に意思を持たせずに、決められたことを実行させることは、確かに「調教」という言葉にあてはまるのかもしれません。
しかし、自由奔放にプレーさせる「放任」という言葉も指導者として、「指導」することを放棄しているとしか思えません。
「放任」と「指導」はまったく違います。
「調教」ではありませんが、ある程度「やり方」を教えることは指導上必要なことだと思います。まったくそれをせずに「自由にプレーしよう」と言ったら、それは「放任」になると思います。
いくつかの「やり方」を選手に提案した上で、その中から何を選ぶのか?を選手に任せることが「指導」で、それを指導者が決めてしまうと「調教」になるんじゃないかって思います。
少年の指導者にとって最も大切なことって何でした?
何より子どもたちに「サッカー大好き!」って気持ちを植え付けることじゃないですかね?
どんなときも、それさえ忘れなければ指導者って間違えることはないと思うんですけどねぇ・・・
Coachしみず
夏の最後のイベントとなるU-10・12の遠征が終わりました。
各年代ともゲーム内容は良く、今チームとしてやっていることを一所懸命やっていました。
一日目は昼間ゲームをして夜Jリーグのナイトゲームを観戦しました。
小さい選手の中には競技場でJリーグを観るのが初めての選手もいて、ドキドキの遠征一日目となりました。
ゲーム観戦後大きな部屋でみんなが一緒に寝る予定でしたが、ここが今回の遠征の一番の問題点となりました。
遠征に慣れてない小さい選手を中心にテンションが上がってしまい、枕投げや走り回る選手が出てきてしまいました。当然睡眠時間が短くなってしまい二日目のプレーに影響が出た選手がいました。二日目は天気が良く気温も上がったので思うように走れない選手や、弁当が全部食べられない選手がU-10の選手の中から出てきました。当然の結果で、こうなることは我々指導者には分かっていましたが、さわいでいるときに注意することはしませんでした。今までだと6年生の爆弾が落ちて静かになるのですが、今年の6年生はマイペース(?)な選手が多くさわいでいても気にせず寝ていたようで爆弾は落ちませんでした。
二日目の夜は3部屋でわかれて寝ましたが小さい爆弾は落ちたようです(笑)
その爆弾のかいがあってか三日目の選手はいつも通り底無しに走り回ることができました。
非日常でテンションが上がり遊びたい気持ちは分かりますが、それ以上に大好きなサッカーができなくてさみしそうな顔が印象的でした。
ペルナでは一回は失敗してちょっとくやしい思いを経験することも大切だと考えています。それがくやしい思いをして同じ失敗を繰り返さないように自分で考え工夫するチャンスになると思っています。まだ年令が低いのでもう一回ぐらいは失敗するかもしれませんけどね(笑)
ちなみに6年生は全然問題なくゲーム内容・生活面ともに大変充実した遠征でした。
Coachしみず
ある新聞のコラムに気になることが書いてありました。
この記事を書いた人のいとこが、テニスの大会に出たときのことです。
その記者は大会の模様を記事にするつもりで会場に足を運びましたが、事前にそのいとこが参加することも知っていました。軽い気持ちでいとこの試合を見始めたところ、とても記事どころではなくなってしまいました。そのいとこを応援する気持ちが強く出てしまい頭の中が「記事モード」にならないのです。
「そうか、選手の家族や親しい人たちは、こういう気持ちで声援を送っていたのか」
この記者は改めて考えました。
人々はなぜこれほどまでにスポーツにひきつけられ、ときには神々しさを感じるのか。
今までその理由を
「スポーツにうそはないから」
と考えていましたが、そこに
「そこには、無数の純粋な祈りがこめられているから」
をプラスして考えるようになったようです。
確かに選手の家族や親しい人たちは、選手の勝利を願います。しかし、勝利を願うことはもちろんのこと、選手の健康と安全を第一に願っています。そこにはなにものにも代えられないものがあり、純粋な気持ちが存在します。そんな気持ちを背負いながら戦える、すばらしい経験となると思うし、その気持ちが選手に絶大なパワーを与えます。
時間を見つけて是非子どもたちの試合を観にきてあげてください。
純粋なパワーを送ってあげてください。
子どもたちは必ずそのパワーを受け止めてがんばるはずですよ。
おうちのかたの宝物のがんばる姿と最高の笑顔がそこにあると思いますよ。
Coachしみず
サッカー選手には様々な「喜び」があります。
ゴールを決めた時の喜び・みんなで力を合わせて勝利した時の喜び・ケガから復活して再びサッカーができることの喜び・・・
いろんな喜びがありますが、あるJリーグを引退した選手は少しかわった喜びを話していました。
その選手が現役最後のチームに移籍してすぐ、ある若手の選手が挨拶に来たそうです。
「ぼく小学生の時○○選手(この引退した選手)のサッカー教室に行ったことがあるんですよ。○○選手にあこがれていました」
この○○選手はサッカー教室を行ったことは覚えていましたが、若手選手のことは覚えていませんでした。
改めてプロサッカー選手が子どもたちに与える影響の大きさを実感したとともに、大変うれしく思ったそうです。
私も小3からサッカーを始めて選手→コーチの道を歩んできましたが、コーチになってからたくさんの子どもたちに多かれ少なかれ影響を与えてきたと思います。
少しでも良い方向に影響を与えられれば、これもサッカープレーヤーの喜びの1つでしょう。
もう1つ私には大きな喜びがありました。
それは自分の子どもとボールを蹴ることができたこと。
2人でリフティングしたり、4人でパスをしたり、ボールの取り合いをしたり・・・
長くサッカープレーヤーをやってきた中で、地味ながらも最もうれしい瞬間でした。
次は孫と一緒にサッカーできるようにがんばろー!!
Coachしみず
夏休みの最後の土・日に3〜6年生で試合をおこないました。
いろいろなチームと試合ができ夏休みの最後を飾るのにふさわしい2日間でした。
残念ながら1日目の土曜日は雨模様となりましたが、朝上小・八風中ともにグランドコンディションはまあまあで、各チーム持ち味をしっかり出せていました。
日曜日は土曜日と打って変わり暑い位の天気でグランドコンディションはバッチリ。目一杯足技を披露していました。
どのチームも多少のプレースタイルの違いはあるものの「こだわり」を持ったプレーをし続け、どのゲームも見応えのあるものでした。
ペルナの選手も今やっていることをやろうとしていたし、特に二日目は急に暑くなり体力的にもきびしい中、最後まであきらめることなくボールを追いかけていましたし、内容の濃い二日間でした。
これからも慌てずじっくり技術をつけ、何より楽しんでサッカーできるように指導していきたい、改めてそう感じた二日間でした。
Coachしみず
先日、久しぶりにJリーグ・ガンバ大阪の試合を観に行ってきました。
何回も行き慣れた大阪・万博競技場でしたが、当日は夏祭りで様々なイベントや屋台が出ていて試合観戦以外でも楽しむことができました。
19時にゲームが始まるといつもと違う雰囲気が・・・
最初は気が付かなかったんですが、スタジアム全体に元気がない。
「熱狂的なガンバサポーターがおらん!」
ホーム・アウェー両ゴール裏に陣取り、巨大な旗を振りながら声を張り上げて応援しているはずのサポーターが、アウェー側にしかおらん!
ガンバサポーターがいないんです。
アウェーゴール裏では、全体の1/10程しかいない相手サポーターが、応援歌を歌ったり選手を鼓舞させる応援を繰り広げています。
ホームゴール裏にあるはずの巨大な応援旗は一本もなく
「We are GAMBA Ole!」
の掛け声もまったく聞こえてきません。
はっきり言って「異様な雰囲気」でした。
今まで数えきれないほどガンバや日本代表の試合を観てきましたが、こんなことは初めてです。
そのおかげで改めてサポーターの存在が、いかに重要か選手にパワーを与えているかを感じることができました。
そういえば子どもたちのゲームのときも一緒やなぁ。
大きな声で応援をするお母さんに元気をもらうと(ときには笑いももらいます)自分達の持っている力・技術の全てを出し切ることができます。
サポーターは12番目の選手、選手と一緒に戦っていると頭では分かっていたつもりでしたが、実際NO応援のゲームを体験してよぉーく分かりました。
この日のガンバのゲームも前半先制しましたが、後半終了間際に失点し勝ち点3を逃してしまいました。
やっぱりサポーターの力は大きいなぁ。
保護者の皆さんも時間を見つけて子どもたちの応援に出掛けてください。子どもたちにとって大きな力になるはずですよ。
Coachしみず
我がペルナにはブラジル人が7人所属しています。
3人は大体日本語が理解できます。1人は半分位、後の3人はほとんど分かりません。
ほとんど分からない中の2人は1年生で、低年齢であることを含めると「まったく分からない」状態です。
この2人と一緒に練習する1・2年生の中で、積極的に会話を試みる選手が2名ほどいます。
ブラジル人選手は、言葉が分からないうえにルールもはっきり分かりません。逆方向に蹴ってしまったり、ボールが出てもおかまいなしなときがあります。そんな時この2人の出番です。2人のブラジル人の名前(ハファエルとカズー)を呼んで
「ハファ!アカン」
「カズー!こっちこっち」
「相手ボール!」
言葉の分からないブラジル人と、少々日本語も怪しい日本人(笑)、とても会話が成立しているとは思えませんが、一所懸命世話を焼いている姿を観ると
「こんなんもアリか」
って思わず笑ってしまいます。
ルールを覚えることも大切ですが、こんなとき私はいつも自由にやらせ、口を出さないことにしています。ミニゲーム中も、どちらがボールを出したとか、出た出ないなど子どもたちに決めさせています。
そんなことに神経質になるより、子どもたちが積極的に自分たちで楽しく、ゲームを進めていくことのほうが大切だと考えているからです。
年の大きいブラジル人の選手は、他の選手と一緒にホームステイで遠征に出掛けたこともあります。
今まったく言葉の通じない状態で、一緒にサッカーをやっている選手同士が、何年か後にはしっかりコミニュケーションを取りながら、ペルナのユニフォームを着て楽しくサッカーができたら・・・楽しみです!!
サッカーに言葉はいらないし国境はないと思います。
子どもたちは身近なところで「国際交流」を経験できれば、将来必ず役に立つでしょう。
このプチ国際交流はペルナならではじゃないでしょうか(笑)
Coachしみず
16・17日は初めての兵庫遠征でした。
1日目の結果によって2日目の試合の組み合わせが決まるシステムで、2日目の第1試合は9時からに決まりました。
試合時間から逆算すると宿舎を7時30分に出発しなければなりません。
朝食は7時からに決まっています。
少々不安がありましたが食堂に集まるときには部屋の掃除・片付けを終わらせて荷物を持っくることに決め、朝食後すぐ出発することにしました。
今回の宿舎は県立体育館の宿泊施設だったので、シーツ替えからフトンのたたみかたまできびしく決まっています。
朝の寝呆けた頭でちゃんとできるか、それに4年生が5人も含まれているので不安でしたが、全然問題ありませんでした。
ヘタすると我々大人よりもしっかりできていました。
『やるなぁ!』
感心して感動しました。
ゲームのほうもなかなか良い内容でした。
各学年とも今トレーニングしていることをやろうとしていたし、部分的にできていました。
これから先、プレーの精度を上げて強い相手・速い相手に対してもペルナのサッカーができるようにもっとトレーニングしていきたいと思います。
試合と試合の合間にゴール裏の空いたスペースで主催者チームとミニゲームを楽しみました。
時間も忘れて純粋にボールを追い掛けて、知らず知らずのうちに名前を呼び合っています。
どの選手の顔も「なんかやったろ」っていう表情で眼が輝いています。
他の指導者と一緒に見ながら『これがホンマのサッカーやな』って話していました。
どんなゲームでも子どもたちのこんな表情・顔が見られるよう指導者は努力しなければならないし、見られれば本当に幸せなことです。
今回の遠征も大成功で楽しい遠征でした。
Coachしみず
反町ジャパンの北京五輪が3戦全敗の勝ち点0で終わりました。
1次リーグB組の日本は初戦のアメリカ戦を0ー1で落とした後、続くナイジェリア戦を1ー2、最終戦のオランダ戦も0ー1で落とし、グループリーグ制になってから出場した6大会で過去最悪の勝ち点「0」という結果に終わりました。
おまけに大会総得点「1」というのも過去最少です。
原因はなんなんでしょう?
日本サッカーの永遠の課題「得点力不足」ですかねぇ。
日本の長所を生かしたサッカースタイルは、かなり浸透してきたという声もあがってますが、実際どうでしょう?
勤勉さと敏捷性をフルに使い、局面で数的優位な状況を作り出すサッカーを、やっているのはどの年代でしょう?
日本人って器用な人種じゃなかったですかねぇ。そんな日本人の特性を考え育成年代の現状を見ると「勝利」に重点を置いている大会や全国大会に「?」が付きます。
勝たなければならないためにリスクを犯さず後方からロングボールをほうりこむ。そんなサッカーって日本人の特性から考えると「×」でしょう?
サッカーのベースを作らなければならない少年年代に、将来目指すべき方向とあまりにも違う方向のサッカーをやりすぎてはいないでしょうか?
なんかそんなところを、底辺のところを変えていかないとA代表が世界のトップと、対等に戦える日は永遠にこないんじゃないでしょうか。
日本代表が世界のトップと対等に戦えるために、我々少年の指導者の責任は結構大きいようです。
Coachしみず
8・9日はUー12で浜松遠征に行ってきました。
高校のグランド(人工芝)を使用させてもらい、同じ高校の宿泊施設に泊まっての遠征でした。
2日間共に6年生が6人と後は5年生で体力的にはきびしい遠征になりましたが、ゲーム中はもちろん宿舎でも6年生がリーダーシップを取って全体的には良い遠征でした。
ただ5年生はまだ遠征に慣れてない選手が多くプレー面・生活面共に、まだまだトレーニングと自覚が必要であると感じました。
まぁ5年生はこれから何回も遠征を経験して次第にできるようになっていくと思うし、6年生から受け継いでいくペルナの伝統もあると思います。
選手にはこれからもいろいろな経験をして、一回りも二回りも成長してもらいたいものです。
Coachしみず