スナイデル

  • 2010年05月27日(木)

今日はW杯南ア大会で日本と同組のオランダ代表MF・ウェスリー・スナイデルについて紹介します。

スナイデルはオランダの名門『アヤックス』のアカデミー(下部組織)で少年時代を過ごしました。
その時の指導者が当時のことを以下のように語っています。

『とても子どもらしかった。冗談好きで、いたずらっ子で、そして情熱的で。いつもぎりぎりのところまでふざけていた。明るく親しみやすい少年だった』

『物事がうまくいかなくても平気なタイプ。例えばPKを2回外しても、3回目を蹴ってしまう。自信があるということもいえるが、失敗したら何が何でも取り返してやろう、という気持ちが強かった』

『リスクを恐れずに攻撃を仕掛けていく。何か開発する創造性にあふれ、新しいものを発見しようとする。オランダ人らしく、攻撃的なのです』

『素直で信頼できる少年で、いたずら好きで。今もそうです』

公称170cmの小柄なスナイデルは(実際にはもっと小さいみたいですが・・・)ユース時代、『その身長で、プロとしてやっていけるかどうか』が話題になるような選手でした。
大柄な選手が多いオランダにおいて、プレッシャーの激しい中盤でどうすれば生き残れるか?
それを彼は、『速さ』『賢さ』『洞察力』で解決しました。
背が低いからこそ他の方法を探し、生き残るために自分の持っている才能を開発しました。

彼が育ったアヤックスのアカデミーは、ジュニア年代の育成には定評のあるチームです。
その基本コンセプトは『TIPS』T(テクニック=技術)I(インサイト=洞察力)P(パーソナリティー=人格)S(スピード=敏捷性・瞬発力)を重視するチームで、フィジカルに頼らず、知性を磨くことをスナイデルに求めました。
今のスナイデルの成功の裏には、アヤックス時代の環境が影響していることは間違いなさそうです。

自分の『弱点』をプラス方向に導く。
こんなスナイデルの姿勢に、良いサッカー選手になるためのヒントが隠されているような気がします。

        Coachしみず

ガンバレにっぽん!

  • 2010年05月26日(水)

久しぶりに見ました。

24日W杯前の最後の国内試合は、58000人の大観衆のなか埼玉スタジアムでおこなわれ、0−2で隣国のライバル韓国に敗れました。

前半6分、朴智星(マンチェスターU)にドリブルシュートを決められ、終了間際ロスタイムの後半46分には、GK楢崎のファールから与えたPKをきっちり決められ、0−2で敗れました。

『まぁこんなもん』でしょうね。

結果としては『最悪』な結末となりました。

当日は練習日だったので、録画で練習終了後に見ましたが『・・・』でした。

大体この次期に壮行試合で韓国とやる意味あります?
スポンサーとの兼ね合いでやらなければならなかったんでしょうが(興業的には58000人入ったし成功でしょうが・・・)選手としては『ケガしたくない』っていうのが本心でしょ!?
そんな状態のときに『日韓戦』ですか!?
ブラジルがこの次期に壮行試合でホームでアルゼンチンとやります?
考えられません。

まぁそれは置いといて、私が感じた日本の現時点での問題点は三つ。
@サイドアタッカーが不在
Aヘディングがヘタ
Bディフェンスがダメ
他にも挙げれば出てきますが、早急に取り組む必要があるのはこの三つだと思いました。
早急にといっても今すぐ始めて形になってくるのは10年後になると思いますが・・・

全て小学生・中学生の育成年代からの習慣だと思います。
@全然サイドで仕掛けられない。これは仕掛けてボールを失うことに対して、指導者の我慢不足が原因では・・・
A最終ゴール前でのヘディングシュートがヘタなのはもちろん、DFでも中盤でも相手のクリアーボールをヘディングで近くの味方に渡すことができない。『セカンド』が拾えないのはヘディングの技術不足が原因では?
Bこれが一番大きな問題かな・・・
前半の失点シーンの原因はこれ!
長谷部との競り合いに勝ちボールを持った朴智星の周りには、今野・遠藤・阿部・中沢の4人がいましたが、あっさり真ん中を割られシュートを打たれ失点。
朴智星1人に5人日本の選手はアタックしましたが結局ゴールを決められる。これが日本のDFの現状ではないでしょうか。
フィールド選手10人のうち5人が行って決められているようでは話になりません。
『玉際の弱さ』にも関係しているようで、育成年代での指導を変える必要があるようです。
今さら日本代表の選手に『玉際をきびしく行け』と言っても、今までやってきた習慣が簡単に変わるとは思えないので、今すぐ少年の指導から継続してやったとして12歳から6年後の18歳頃に習慣付き、その選手かW杯で活躍するのが24歳とすると、今から12年後・・・
でもやり始めないとできるようにならないので・・・

長い目で見ると今回のW杯は惨敗して、もう一度一から指導を変えてやり直す。これが一番かと思いますが、惨敗するとサッカー人気が・・・

子どもたちが夢を持てない昨今、なんとかサッカーを通じて子どもたちに夢を与えたい。そのためには日本代表に今回のW杯がんばってもらわないと・・・
ガンバレにっぽん!!

        Coachしみず

カカー

  • 2010年05月16日(日)

今日はブラジル代表の『カカー』について紹介したいと思います。

現在レアル・マドリードに所属するブラジル代表のカカーは、07年にバロンドール(世界最優秀選手)を受賞しました。
そのカカーの才能を見抜き、守ってくれる指導者がいなければ、彼は今頃、金融かIT関係の仕事をしていたかもしれませんでした。
カカーが15・16歳のころ、当時所属していたブラジルの名門『サンパウロ』のユース監督が彼に、『君は頭がいいから大学に進んだほうがいい』と勧めました。しかし、カカーがサンパウロのジュニアチームに所属していたころの監督が、カカーのサッカー選手としての将来性を見抜き、彼にチャンスを与えるよう各方面に働きかけました。
15歳当時のカカーは身長160cm・体重50kg(日本人の15歳の平均サイズは168cm・59kg)と小さくやせっぽちで、コーチの誰もが、見た目でプロとしての将来はないと思っていました。
そんなカカーを当時のジュニアチームの監督は、彼の明るさ・素直さ・プレーをしているときの体勢の良さ・知恵、そして常にゴールを狙ってプレーすることが他の選手より優れていると感じ、トップチームの監督に推薦しました。
トップチームの監督を誘って、当時ユースチームだったカカーの試合を観に行ったとき、なんとカカーは補欠で、試合の最後に少しだけ出場しただけでした。連れて行ったジュニアの監督を気の毒に思ったトップチームの監督は、カカーを練習に参加させることを約束しました。
こうしてトップチームの練習に15日間だけという限定で参加したカカーは、その1日目から強烈な印象を与え『プロ・カカー』が誕生することになりました。

少年時代他の選手より頭一つ小さかったカカーに、当時の指導者は3つのことを主に教え、『小さくやせっぽち』なハンディを克服させました。
その1つ目は、『頭を使ってプレーすること』でした。試合に出場すると『ケガ』することも怖いほど小さかったカカーに指導者は、『マークは他の選手に任せておいて、お前は知恵と創造力を働かせてプレーしろ』と指示し、常に頭を使ってプレーすることを要求しました。
2つ目は、ブラジルで俗に言う『サイボーグ計画』を実行しました。ブラジルには、ボール扱いが上手くてフィジカルが弱い選手に、若いときから食事療法と計画的な練習によって、フィジカルの弱点を克服するプログラムがあるそうです。ガリンシャ・ジーコら伝説的な名選手も、この肉体改造で成功しました。
3つ目は、『シュート練習』でした。小柄で強いボールが蹴れなかった少年に対し、指導者はボールを正確にゴールの枠に収めるように指導しました。
そういえば昔ジーコが『シュートはゴールへのラストパスだ』と言っていたのを思い出します。

こうしてサンパウロでプロの道を歩み始めたカカーは、セレソン(ブラジル代表)に選ばれ、バロンドールも受賞し、世界最高の選手の一人となりました。
ブラジルでは裕福な白人に対して、『逆差別』があるといいます。
『白人が上手いわけがない』
『私立校の選手が上手いわけがない』
とサッカー面で差別されることがあるそうです。
日本では想像も付きませんが・・・

多くのハンディを乗り越えて、『世界最高選手』になったカカーが、今回のW杯で主役の一人になるのは間違いないでしょう。
セレソンと共に応援します!

      Coachしみず

我慢

  • 2010年05月07日(金)

サッカー三昧のゴールデン・ウィークが終わりました。

1日から、奈良・愛知・愛知・大阪・大阪というハードスケジュールでしたが、最後まで選手たちは元気一杯でした。

珍しく一日も雨が降らず、暑い日が毎日続き『体調を崩す選手が出るんじゃないかな』と心配しましたが、大きく崩す選手もいなくて充実したGWを過ごすことができました。

新チームになって初めて『パス』を意識してサッカーをしましたが、まだまともにパスの練習をしていない割には、なかなか良かったんじゃないかなって思いました。
この先『どこのトレーニングをすればいいか?』も見えてきましたし、選手たちも手応えをつかんでくれたんじゃないかなって思います。

最後の二日間は、いつもお世話になっている大阪のチームにホームステイを受けて頂き、貴重な体験を積むこともできました。
今回2回目のホームステイの選手がほとんどで、中には3回目の選手もいてリラックスしてホームステイに臨めたようです。
帰りには『またおいでよ』『またね』と保護者の方からも声を掛けて頂き、選手同士では『バイバイ』『またな』と別れを惜しむ声が上がって、バスを出発させずらい雰囲気になっていました。
普段の遠征の帰りのバスの中では、ほとんどの選手が寝ていて、静かなはずの車内が今回はずーっと騒がしいままでした。これもホームステイ先での夜の過ごし方が良く、帰りの車内でも騒ぐだけの体力が残っていたということでしょう。
そんなところでも今回の遠征が大成功だったと感じました。

今回も多くの『クセのある』指導者たちと話をすることができました。
いろいろな話がでましたが、中でも『選手も指導者も点を取ることを急ぎすぎている。日本のことわざに『急がば回れ』っていう言葉があるやろ。そんなええことわざがあるのに分かってないねぇ』っていう話が印象に残りました。
確かにその通りかもしれません。
選手・指導者ともに早く点が欲しいから、アバウトに前線にボールを放り込む。相手DFのミスを拾ったりして(ジュニアユース・ユース年代に多く聞かれる「セカンド」っていうやつです。最近はジュニアでも多いですけどね)『シュートで終わる』(私は嫌いです!)

繰り返し続ければいつかは点が取れるでしょうし、自チームのミスの可能性が少ないので失点の可能性も低いかもしれません。しかし、今はミスをして成功(得点)にならなくても、確実にボールをつないで『意図的に』ゴールを奪うことを育成年代にしっかりやっておかないと、将来的に慢性的な『得点力不足』から脱却できないんじゃないですかね。

まずは我々指導者・大人が『我慢』しなければなりません。
ましてや、指導者の『勝ちたい』を選手たちに押しつけてはいけません。

そんなことを再確認させられたいいGWでした。
また今日から選手とともにがんばります!

       Coachしみず