これも不況のせい?

  • 2009年07月27日(月)

先日、ブラジル指導者研修で一緒になった指導者と、研修以来始めて会って話をしました。

時々は電話で連絡を取り合っていましたが、住んでいる場所が遠いため約8年ぶりの再会となりました。

その指導者はある高校の指導と、その高校の下部組織のようなジュニアユースの指導をしています。

いろいろな話をしましたが、中でも非常に興味深い話があったので紹介します。

その高校のチームは高校選手権で“優勝”という輝かしい実績を持っています。
「その時のメンバーの進路は?」という話をしていて“びっくり”がありました。
全員が大学進学!
それも多くが国公立!
以前に電話で「うちの学校は頭がいるんで」という話をしていました。「どれくらい?」と聞くと「上の下くらい」微妙です・・・
「寮に入っている選手は休みの日でも実家に帰りませんよ。寮で勉強しています」まさに「文武両道」です。

「プロになりたい!」っていう選手はおらへんの?って聞いたら「いません」とあっさり。
「近くにJのチームがあって、そこの選手がプロになっても3年くらいで首切られているのを見ていますから、うちの選手はとりあえず大学に進学します。そこで勉強しながら将来やりたい仕事の資格を取って4年間サッカーもがんばります。卒業の時点でどうかですよね」
要するに、大学卒業後の進路を第一に考えながらサッカーを続けるということでしょう。卒業時にプロからオファーがあれば考えるということだと思います。

「さすが頭の良い子は違うなぁ」って感心する反面、「日本のサッカー界ってこんなんでえーんかなぁ」って思います。
高校選手権で優勝するようなチームの選手がプロになりたがらない。それ程Jリーグは魅力のないものになっているんじゃないでしょうか。
現実問題としてJ2のチームの中には「選手の平均年俸が200万円代」ってとこもありますし、「つぶれかかっている」チームさえあると聞きます。
Jリーグの日本人選手で年俸1億円以上もらっている選手はほとんどいませんが、プロ野球の選手は3億・4億もらっている選手がたくさんいます。大リーグになるとその何倍ももらっているらしいですが・・・
サッカー界も欧州では移籍金50億・80億・130億なんて話も・・・

子ども達の夢である「プロサッカー選手」になるより、「普通のサラリーマン」や「公務員」になりたいって全国優勝した高校生が言うなんて・・・

全て不況のせいかもしれませんが、政治家も敵対する団体の悪口やあげあしを取って自分の当選のことばかり考えずに、真剣に日本の将来を考えて日本を変えていかないと、とんでもないことになってしまうかもしれませんよ。

       Coachしみず

多人種

  • 2009年07月24日(金)

ブラジルって本まに多人種ですよね。

アフリカをルーツに持つ黒人系、欧州をルーツに持つ白人系、パルダと呼ばれる混血、アジアをルーツに持つ黄色系、先住民のインジオ系。
データで一番多いのが白人系で、次が黒人系となっています。ただ、ブラジルでの肌の色は自己申告となっているので、ヨーロッパで人種差別が問題視されたとき、かのホナウドは「肌の色で差別するのは良くない。僕は白人だが、そういうことは許せない」と言ったそうです。

肌の色・髪の毛の色・質・目の色も様々なブラジルですが、広い国土の中で地域によって好みのサッカーも違うようです。
一般的には、リオ・デ・ジャネイロは芸術的なサッカー、サンパウロ州は秀才的なサッカー、ガウーショ(リオ・グランデ・ド・スール州:南の端)はパワーサッカーという特徴があります。

各地域に特色があるとはいえ、ブラジルの各クラブは全国から優秀な人材を集めようとしています。低年齢の場合は、親元から離れられないのでクラブ近辺に住む、自宅から通える子が中心になりますが、寮生活ができる年齢になると、何千キロも離れたところから、あらゆる地域から人が集まってきます。

もともと、多人種である上に、地域を越えて人が動く。結果として、1つのチームに様々なタイプの選手が所属することになります。言葉も習慣も違う人々が集まって国家が出来ていったからこそ、互いが違うことを前提に言葉に出して理解しようとし、相手に同化を求めないけど、互いの存在を認める姿勢があります。

アルゼンチンは、スペイン人が植民地にしたとき、インジオを皆殺しにしたのに対し、ポルトガル人は、ブラジルのインジオと共存の道を選んだから多人種で、アルゼンチン人はみんな白人と聞いたことがあります。
そんなところからもブラジル人の「陽気さ」と「優しさ」を感じることができます。
サッカーと無関係とは思えません。

        Coachしみず

静岡遠征

  • 2009年07月19日(日)

18・19日は静岡遠征でした。

6年3人、5年6人、4年3人、3年4人と3・4年が約半数を占める人数構成で、特に6年にとっては結構負担のかかる遠征になりました。

試合中は守備も攻撃も全てやらなければなりません。
『ボールに行け!』
暑さとでかい相手にへこんでいる3年を元気付けるのも5・6年の仕事です。

やらなければならないことは試合中だけではありません。
試合と試合の間の過ごし方、二日目の水分の作り方、食べた弁当のゴミ処理と試合以外も大忙し!その上、今回の遠征は初めての泊まりの選手もたくさんいて、宿でも大変!風呂・食事・テンションの上がっている下級生の面倒を見るのも5・6年の仕事。
暑い時期の遠征で自分のことだけでも大変なのによくやっていたと思います。

今回下級生の面倒をよく見ていた上級生も、数年前は下級生で面倒を見てもらってました。順番です。これがチームの伝統です。今年の6年もペルナの伝統を継承できたようです。

ゲーム内容では、全て負けてしまいましたが3年のがんばりが光っていました。
最後の最後まで『コーチ出たい出たい』と言い続け、ラストの一本は4人全員出場!最後までちびっこパワーは衰えませんでした。

今回、人数的には大変厳しい遠征でしたが、高学年の選手にとっても、低学年の選手にとってもいい経験ができ、少し成長できた遠征で大成功でした。

        Coachしみず

日本サッカーの改善点A

  • 2009年07月16日(木)

前回、日本人が「技術は高いけど、“サッカー”は下手」な話をしましたが、そこで触れた「日本の文化」について・・・

基本、日本人って「農耕民族」で攻撃の文化はないと思うんですね。外国の「狩猟民族」に比べるとおとなしいというか・・・それが悪いというのではなく、その文化を理解したうえで「日本のサッカースタイル」を確立する必要があると思うんです。

野球やバレーボールって日本人の特性を考えたスタイルで戦っていると思いません?
野球なら、日本のピッチャーのイメージって変化球でコースを上手くついて大リーガーと勝負する。
バレーなら拾って拾ってクイック・移動攻撃、外国に比べて「器用」なバレースタイルな気がします。

ではサッカーではどうでしょう?
代表レベルでは、「数的有利な状況を作って・・・」などと、諸外国とどう戦うかを考えて日本のスタイルを確立しようとしていますが、ジュニア年代では・・・?

前回、「勝利を目指す」ことが「賢い選手」を作って、それが結局「日本選手のレベルアップ」につながるというような話をしました。
「日本のジュニア年代の多くは勝利至上主義」であるのに、なぜ賢い選手は育ってないのか?
それは、「勝利至上主義」が日本国内でのことだけだからではないでしょうか。
ジュニア年代で世界の国、特にトップレベルの国の選手と戦うことがスタンダードになれば、「日本国内で勝つ」ことより「世界のトップに勝つ」ことが重要な課題になるはず。そうなれば、今のジュニアサッカーでは限界があることが分かり、同じ「勝利」を目指すにしてもアプローチの仕方が変わってくるんじゃないでしょうか。
それが、日本のレベルアップにつながるんでは・・・
少年時代に外国のトップと戦う機会が極端に少ないのは島国だから・・・

A代表から各年代の代表、ジュニアユース・ジュニアの日本の全てのサッカーのスタイルを確立させること、サッカー文化を作り上げることには、小さい年代から海外にでること・・・結構重要かもしれません。

         Coachしみず

日本サッカーの改善点@

  • 2009年07月15日(水)

FCバルセロナのスクールコーチをしている、村松さんという人が「日本サッカーの改善点」について、おもしろい話をしていたので紹介したいと思います。

『年代にかかわらず日本人選手の試合やトレーニングを見た海外の指導者がよく抱く印象として、「技術は高いけど、“サッカー”は下手」というものがあります』

彼は、このことを日本サッカーの特徴の1つとして挙げています。

『では、なぜ「技術は高いけど、“サッカー”は下手」という状況が生まれるのでしょうか。その背景には、「賢さ」の欠如があると感じています。賢さはどのようにすれば身に付けられるのかと言えば、戦術的な思考を子どものころから繰り返し行うことになると思います。状況に応じたプレーの選択・実行の試行錯誤を幼いうちから経験しないと、賢い選手は育たないといえるでしょう』

非常に難しい言葉で説明されていますが、例えば「○番の選手、そんなに上手くないし、足が速いわけでもないのに“なんかボールを奪う”よね」ということじゃないでしょうか。

ゲーム中、常に全力でやってるわけじゃないんだけど「ここ一番」にはパワーを発揮する。
「賢い」=「サッカーを知っている」ってことじゃないでしょうか。

「サッカーを知る」ためには「サッカーをする」ことしかない訳で、「サッカーはサッカーをすることによってうまくなる」ということですね。

「危ない」場所を察知する、一番いいタイミングで攻めあがる、いわいるサッカーを知っている、賢いプレーをするのはなぜでしょう?
その答えを流通経済大学付属柏高校の本田監督はこう言っています。

「全ては勝利のためです。勝つために“戦術”“戦略”があって、それを実現するために“技術”が必要になってくる。全ては勝利のためです」

確かに、「危ない場所を察知する」のは失点しないため、「一番いいタイミングで攻めあがる」のは得点のため、サッカーが点の取り合いのゲームである以上「ゴール」を中心に考えるのは当たり前のことで、それは「勝利」のためであるといえます。

以上の点から、日本人が「技術は高いけど、“サッカー”は下手」なのは、小さいときから「技術を身に付ける」ことに重点を置いて、「勝利」をないがしろにしているからということになりますが・・・。
村松氏、本田先生の話からするとそうなりますが、ジュニア年代の現状ってそうでしょうか?
はっきり言うとジュニア年代って「勝つ」ことしか考えてないですよね。

なんかおかしいなぁ・・・

「日本のサッカーのスタイル」が確立されていないことと、日本に「サッカー文化」が根付いていないことが関係しているような・・・

そのへんの話を次回させてもらいたいと思います。

        Coachしみず

コミュニケーション

  • 2009年07月13日(月)

12日は兵庫の「横縞ストッキング軍団」と、チョロコーチのチームとグルグル回しでゲームを楽しみました。

いちおうUー11と9のゲームでしたが、あまり年齢にはこだわらずできるだけみんながたくさん出れるように工夫してやりました。

ペルナの言い伝えに「横縞ストッキングには気をつけろ!」というのがあるように(笑)今回もチンチンにやられました。ゆっくり慌てずボールを扱う横縞軍団に、必死に突破を図るペルナって感じでゲームは進んでいきました。
また、この3月まで滋賀Y高校に通っていたOBコーチが来てくれて、テクニックを披露してくれました。うちのジュニアユースの選手で、このY高校に非常に興味を持っている選手がいて、当日は親子でいろいろな話を聞かせてもらってました。

チョロコーチのチームとは、定期的にちょこちょこやっていて、選手同士がめっちゃ仲良くなっていてびっくりしました。お互いが名前を呼び合って自分たちの学校の話をしたり、一緒にボールを蹴ったりして楽しんでました。

こうやってコミュニケーションを取ることが実は非常に大事なことで、ヘタすると将来のサッカー人生を左右することがあるといっても過言ではありません。
中学までは、少年から一緒にサッカーを楽しんだ仲間と引き続きサッカーを続けることも多いのですが、高校になるとそんなわけにはいきません。
選手によっては、全然知らない県外の高校に通うことになったり、県内でも全然知らないところへ行ったりと、1人で高校サッカーの世界に飛び込んでいくことも少なくありません。そんなときに、周りの選手・先輩・コーチらとうまくコミュニケーションを取れずにサッカーを楽しむことができなくなったり、最悪の場合、一時的にサッカーを辞めてしまうこともあるかもしれません。そうならないためにも、少年の時代からいろいろな選手と友達になったり、大人と話をすることを練習しておく必要があると思います。

サッカーが上達することはもちろん狙いですが、社会に出ても困らないように「コミュニケーション」を上手く取れる人になることも大事なことです。

兵庫・大阪・愛知・滋賀・三重など多くのチームと交流をしながら、サッカー以外の大切なことも身に付けていきたいとペルナでは考えています。

       Coachしみず

暑い夏

  • 2009年07月09日(木)

7月4・5日はジュニアとジュニアユースの試合でした。

ジュニアはパスを始めて約1ヶ月がたちましたが、まだまだ全然です。パスの受け手が感じられず、「ボールを引き出す」ことができなくてうまくパスがつながりません。これからたくさんの経験をして、失敗をして、成功をして、少しずつ成長して最終的には「ペルナらしいサッカー」ができるようにもっともっと練習していきたいと思っています。

ジュニアユース(八風中)は、夏の中体連に向けてラスト2試合の1試合目の試合を豊田でやってきました。
去年の「熱い夏」から、あっという間に1年が過ぎました。
早い時間に1点を失い、追いかける展開のゲームになりましたが、後半追いついて終了間際に逆転。狙い通りのゲームができました。「簡単には負けられない」強い気持ちが出てきているし、チームの形が出来てきました。今年も「熱い夏」は承継されそうです。

今、八風中の先生とうまく連携が取れていて、「一貫指導」は成功していると思います。チーム名は違い、活動ベースも違いますが、選手の情報を共有し、お互いに選手を見て、時には交流戦をおこなう。まさに「一貫指導」です。
この環境に、後は選手の気持ちが「ポジティブ」に取り組めるモードに入れば、いい選手が必ず生まれるはずです。

八風中の「夏」が楽しみです。ぜひ、保護者・関係者の方も時間を見つけて「熱い夏」を感じに行ってください。大人である我々がたくさんの元気をもらうことになりますよ!

       Coachしみず

世界のベスト4

  • 2009年07月06日(月)

日本代表の岡田監督は、代表に選手を招集するたび「世界ベスト4、本気でやってみないか」と言っているようです。

『これは去年の途中から強調しだしたことで、例えばパスをシンプルに回すために、パススピードを上げなさい、ワンタッチでできるだけシンプルなプレーをしなさい、と下からどんどん変えていくというのは、実際時間がかかることです。
ところが、上をころっと変えるとすべてがオセロみたいにパッパッパッと変わっていきます。
そういった魔法の方法論のようなものが心理学の分野にあります。目標を設定し、それに対して皆が気持ちを一つにする。
どういうことかというと、「本気でベスト4を目指さないか」と言う。「本気で目指すということはそんなに生易しいことではないよ、ベスト4というのは。そんな適当な練習で適当な試合をしてそこそこでは、絶対にベスト4なんて行けないよ。大変なことだよ」ということになる。
それで練習でパススピードが緩い選手がいたら、「お前それでベスト4に行けると思うかい」とこの一言ですべてが解決する。これで何人かの選手が本気になってきている。これが全員そうなってくれればチームはかなり強くなると思います。』と岡田監督は語っています。

日本代表の選手のように「ある程度出来上がった選手」でさえ、ちょっとした気持ちの持ち方、考え方を変えるだけで、まだまだ伸びが違ってくるようです。

我々が指導している育成年代の選手なら、もっと変化が表れるんじゃないでしょうか。やはり、「ポジティブな指導」について、育成年代の指導者は真剣に考える必要があるようです。

       Coachしみず