食事について

  • 2012年05月15日(火)

管理栄養士の吉川珠美さんの栄養コラムから紹介します。



私たちの体は、すべて食べたものが材料となってできています。特に成長期のサッカー選手にとっては、日々発達する体の材料として何を食べるかの選択は大人よりも重要な問題です。すなわち、彼らが食べる食材は、未来の自分そのものなのです。ただし、残念ながらこれさえ食べていれば大丈夫!といったような都合の良い食べ物はありません。食べ物に含まれる栄養素はたんぱく質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルなどに分類され、それぞれ異なった役割を果たして毎日の活動を支えているのです。

まず、たんぱく質はサッカー選手の体作りに不可欠な筋肉や、皮膚や内臓、血管、ホルモンなどすべての体の基本的な材料となる栄養素です。そして糖質は筋肉が最初に使う燃料としてだけでなく、脳の唯一のエネルギー源として働くので集中力を持続させる働きがあります。脂肪は持久的に燃焼されてスタミナを支えるほか、やる気をおこしたり闘争心を高めるホルモンの材料にもなります。ただし脂肪の摂りすぎは肥満の原因になったり種類を間違うとスタミナを低下させるので注意が必要です。

 一方、ビタミン・ミネラルはたんぱく質や糖質、脂質を利用するために必要な栄養素といえます。料理にたとえると、たんぱく質や糖質、脂質は食材であり、ビタミンやミネラルはコックさんに当たります。いくらコックさんの腕が良くても材料が悪ければ美味しい料理はできませんし、その逆も同じです。良質なたんぱく質や糖質、脂質と、それを利用するためのビタミン、ミネラルがすべて揃って、はじめて健康的な体を作ることができる理想的な食事となるのです。

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しかし5つの栄養素のバランスが取れた献立を考えることはそう難しくはありません。もっとも簡単な方法は、食卓に5つの色をそろえることです。まず、白=主食のご飯・麺類、赤=メインのおかずとなる肉や魚、卵、大豆製品などたんぱく質を補給できる料理を軸として、緑=土から上の野菜、黄色=土から下の野菜、黒=きのこや海藻類といった食材を使った副菜を添えます。この5色の食事を普段から心かげて習慣づけておくと、遠征や合宿の食事がバイキングのときも選手が自分自身でバランスのとれた食事を組み立てることができます。また5色の色が揃った食卓は見た目にも鮮やかで自然に美味しく食べることができます。
食事は心の栄養としても大切な働きをします。体に良い食べ物だからといって、おいしくなかったり、特殊な食べ物であるため日常的に食べられなければ意味がありません。食べたいものが食べれないというストレスが逆効果になることもあります。残念なことに「体によい食べ物は美味しくない」というイメージがありがちですが、むしろ美味しいと感じながら食べることは重要です。それは脳がおいしいと感じることで消化吸収が高まって食べたものの栄養素がより効率的に利用されるからです。

いくら頑張って練習をしても、才能があっても、何を食べるかによってその成果は異なります。大切な試合なのに、食事のせいで実力を発揮できなければどんなに悔しいことでしょう?逆に食べ方を変えることで、スタミナを蓄え、集中力を保ち、怪我を予防し、疲労を速やかに回復して最大限の実力を発揮することができるのです。毎日の食事の中のちょっとした工夫、少しの努力が、実力を引き出してくれるのです。