今を生きよう

  • 2008年11月01日(土)

夜回り先生と言われている水谷修さんをご存知ですか?児童福祉運動家、教育評論家。元高等学校教諭。
少年少女の非行や薬物依存症問題に尽力し、5000人超の青少年と向き合っている、夜間に繁華街をパトロールすることから「夜回り先生」との異名を持つ方です。
菰野町で講演されたこともあります。
毎週月曜日に中日新聞に寄稿されています。その中から、今日は10/13掲載分をご紹介します。

子どもたち、私は、いつも親や先生、私たち大人が君たちについている一番ひどいうそは、「やればできる」だと思っています。これはひどいうそです。どれだけ多くの子どもたちが、このうそを押しつけられ追いつめられたか。哀しくなります。
子どもたち、私が一生懸命野球を練習したら、松井選手のように大リーグでホームランを打つことができますか。私が一生懸命水泳を練習したら、北島選手のようにオリンピックで金メダルを取るとこができますか。当然できません。
子どもたち、私は、決して君たちの夢を壊そうとして、こんなことを言っているのではありません。人は生まれつき、その人によって違う能力が特性として与えられています。ある人は、踊ること。ある人は、野球をすること。またある人は、数学の能力。お年寄りに対する優しさや、礼儀正しさ。お魚を捕ることや、お米を育てること・・・。
君たち一人ひとりには、生まれつき、君一人しか持っていない能力が備わっています。本当の教育の目的は、子どもたちが、自ら持つこの能力に気づき、それを育て花咲かせることを助けることです。しかし、今多くの親や先生、大人たちは、これを見失っています。そして、君たちに知識や運動能力、技術を無理やり詰め込もうとしています。努力すれば、何でもできると。
そして、多くの子どもたちがつぶされていっています。哀しいことです。君たちはどうですか。今、追いつめられ、苦しんでいませんか。追いつめられている子どもたち、苦しんでいる子どもたちにお願いです。立ち止まってみませんか。きちんと、親や先生に、できないことはできないと伝えてほしい。そう伝えることが怖かったら、ただ泣くことでもいいのです。
そして、自然の中に出て、美しいものを探し、先人たちの名著といわれる良い本を読んでみませんか。過去に惑わされ、明日のために、今を走り回ることをやめて、今を大切に、素晴らしいもの、美しいものに触れてみませんか。
〜中略〜
子どもたち、たった一度の人生を、追い立てられ走って生きて何になりますか。きちんと今を生きるのです。そして、今を磨くのです。そうすれば、自然に君の中にある、君だけが持っている素晴らしいものが見えてきます。立ち止まろう。


「やればできる」は一番ひどいうそ・・というのはハッとさせられる言葉でした。使いますよね。この言葉。
親が「やればできる」と言うのは、あきらめない気持ちが育ってほしいという願いがあるからだと思います。自信がない子を励ますときにも使います。
水谷先生は心底疲れてしまって動けなくなり、死を選んでしまった子どもたちを見ているので、「立ち止まろう」と言われるのでしょう。
「頑張れ」「早く」「もっとできる」と子どもたちを追い立てる言葉がたくさんあふれています。せめて家庭の中だけでも、子どもがホッとして安らげる場所をつくってあげたいです。