朝食について

  • 2012年05月30日(水)

今回も引き続き吉川珠美さんの栄養コラムからです。


みなさんは毎日きちんと朝食を食べていますか?小学校5〜6年生約2000名を対象にしたある食事調査では、約23%もの子供たちが朝食を食べていないことが明らかになりました。朝食は一日のスタートとしてエネルギーを補給するという点でも大切ですが、それ以外にも眠っている脳や体を活動させる目覚まし時計としての重要は役割があります。人間の体には体内時計がセットされていて、昼の活動期には体温が上がり、活動に必要なエネルギー代謝活動が活発になるようなリズムを作っています。逆に、夜になると体温が下がり、体は休養モードに入ります。私たちが朝目覚めたときは体温やさまざまな体の機能が一番低下している状態になっており、朝食を食べることで体温が上がり、体のさまざまな活動リズムのウオーミングアップが開始されるのです。

 ところが朝食を摂らないまま活動しようとしても、体温が上がらずに脳もエネルギー不足の状態で、集中力や記憶力もうまく働くことができません。また自律神経ホルモンの分泌も悪くなり、すぐにイライラしたり情緒不安定に陥ることもあります。こうなると体全体の機能が低下し、疲れやすく肥満しやすい体質になるほか、成長期では骨や筋肉の発達にも悪影響を及ぼしてしまいます。

 では、どうして朝食を食べないのでしょうか?さきほどの調査結果から朝食を食べない理由を見てみると、時間がない、食欲がないといった理由がほとんどで、夜更かしや遅い時間の夕食や間食が背景にあることが想像できます。睡眠中には骨を強くしたり背を伸ばす成長ホルモンがもっとも多く分泌されるので、体づくりが大切なサッカー選手に睡眠不足は致命傷です。夕食をしっかり食べたらその後の間食はやめて、早めに布団に入ることを心がけ、規則正しい食事や睡眠ができる生活リズムをととのえましょう。

 しかし、前述の調査で朝食を摂っていると答えた子供も、その内容を見てみると菓子パン、コーンフレークとウインナー、ロールパンとインスタントのカップスープ、ドーナツと紅茶、カップラーメンなどなど一日を元気よくスタートするための栄養補給とは言えないような栄養バランスが偏ったものが目立ちます。朝食は簡単に準備できることも大切ですが、ちょっとした工夫で手軽に必要な栄養素を補うこともできます。そこでオススメしたいのが、朝食メニューに果物や野菜を使った手作りのフレッシュジュースを加えることです。果物にはエネルギー源となる糖質だけでなくビタミン・ミネラルや食物繊維も豊富に含まれており、手軽に必要な栄養素を補うことができます。またジュースにすることで食欲がなくても飲みやすく、消化・吸収にも負担がかかりません。季節に応じた旬の果物や野菜に好みでヨーグルト、蜂蜜などを加えるとバリエーションも楽しめます。普段から朝食を摂る人も、摂らない人も、フレッシュジュースでさわやかに元気よく一日をスタートさせ、生活リズムを整えましょう。

水分補給について

  • 2012年05月24日(木)

夏が近づくと同時に、サッカーの練習ではたくさん汗をかくようになりますね。汗かきの人もそうでない人も、汗には大切な役割があるのをご存知でしょうか?サッカーなどの筋肉運動によってエネルギーが燃焼されると、車のエンジンが熱くなるように体温も上昇します。すると風邪で熱を出したときと同じような状態になり、体のすべての機能が低下してしまい、ひどい場合には熱中症を引き起こしてしまいます。このような体温の上昇を防ぐために体の水分を汗として蒸発させて熱を発散することで体温を一定に保っているのです。

私たちの体は60%が水分でできており、これほどたくさんの水分を保たなければならないのは、体内で行われるほとんどすべての代謝に水分が必要であるからです。たとえば水は血液としてブドウ糖や酸素などの栄養を補給し、乳酸や二酸化炭素などの老廃物を尿として排泄します。しかし、体温を下げるために汗をかくと、今度は体の水分が不足してしまいます。同じ体から出される水分でも、汗と尿はまったく別のものです。尿は体に不要なものを水に溶かして排泄するためのものですが、汗には水分とカリウムやマグネシウムなどのミネラルが含まれており、貴重な水と体液を犠牲にすることで体温を一定に保っているのです。カリウムやマグネシウムは神経の伝達に深く関与しているので、不足すると痙攣や肉ばなれを引き起こす原因にもなってしまいます。実際に汗で体内の水分の3%ほどが失われると、体全体の働きが著しく低下することが解っています。熱中症予防だけでなく脱水によるパフォーマンスの低下を防ぐためにも、特に気温と湿度が高い夏場は大量の汗をかくので正しい水分補給は不可欠なのです。

汗の量は環境によって異なりますが、サッカーの場合1〜2時間の練習でも1リットル以上もの汗をかくといわれています。このような状況で水分を不足させないためには、まず運動の2時間前に喉が渇いていなくても500mlの十分な水分を補給して体内の水分を満たしておきましょう。運動中には15〜30分ごとに給水タイムを作って、こまめに水分補給を行うことも大切です。サッカー選手の水分補給には、0.1〜0.2%の食塩、5%程度の糖質を含んだものが飲みやすく成分も適しているといわれています。市販のスポーツドリンクの表示では0.1〜0.2%の塩分とは100mlあたり40〜80mgの塩分に相当します。しかし1リットル以上もの量を摂取するのですからあらかじめ表示をよく見て糖分が多い場合はスポーツドリンクを薄めて飲むなどの工夫も大切です。
また運動直後は体の回復反応が高まっているので運動後15分以内に糖質やミネラルだけでなく、クエン酸やアミノ酸が含まれたものを飲むことも疲労回復のためには重要なポイントです。たとえばミネラルウオーターに果物の果汁やはちみつを加えてを飲むと手軽にこれらの栄養素を補うことができます。
適切な水分補給をすることはサッカーのコンディショニングのうえで、栄養素の補給、熱中症の予防、疲労の予防と回復のすべてに関わる重要な要素です。試合の時だけでなく、普段の練習から自分で考えて実践しながら、自分にあった水分補給の方法ができるようになりましょう。


今回も吉川珠美さんの栄養コラムからの紹介です。

熱中症になりやすいのは真夏よりこれからの季節です。曇り空で湿度が高く、まだ体が暑さに慣れていない時が危険です。水分補給とたっぷりの睡眠で体調を万全にして暑い夏に備えていきましょう。

ちなみに我が家の息子の簡単ドリンクの作り方です。
1リットルのスクイズ1本分:冷蔵庫で冷やしておいた500mlのペットボトル1本分の水を入れて、残り500mlスポーツドリンクを入れます。後は塩少々とレモン果汁(ポッカのレモン100でOK)をお好み入れるだけ。子どもでも簡単に作れます。

お弁当について

  • 2012年05月22日(火)

 今回も吉川珠美さんの栄養コラムの紹介です。

 試合や練習にもっていくお弁当の栄養バランスを考えるためには、家庭での食事とは違った工夫が必要です。お弁当作りでは、運動前に補わなければならない栄養素がしっかり含まれているだけでなく、持ち運びしやすい、腐りにくいといったことも考慮しなければなりません。

 まず運動前に必要な栄養素はエネルギーのもとになる糖質と、それを利用するために必要なビタミンB1、クロム、マグネシウム、そして疲労を蓄積させないためのクエン酸やビタミンCを補います。主食となるご飯やパンで糖質をしっかり食べるとよいのですが、ご飯にごまやちりめんじゃこ、塩昆布を刻んで混ぜるだけで簡単にビタミンB群やマグネシウムなどを補給することができます。また白米よりも精製度を抑えた胚芽米を利用すればそのままで栄養バランスを摂ることができます。もともと玄米は、稲を発芽させるための種ですから発芽のためのエネルギーを生み出す栄養素がすべて含まれている完全食品なのです。ただし玄米は消化がよくないので試合や練習前に食べると胃にもたれる可能性があるので、三分搗きや五分搗きなど精製度の低いものにすると胃腸への負担が軽減できます。パンを主食にする場合も、胚芽の入ったパンや全粒粉やライ麦などが含まれて入るものを選ぶとよいでしょう。

 おかずにはビタミン・ミネラルが豊富な食材を使い、たんぱく質はむしろ摂り過ぎないほうが賢明です。たんぱく質は運動後に筋肉の修復作業で必要となるので、運動後の夕食でしっかり摂るほうが効果的です。糖質をエネルギーに変えるために必要なビタミンB1は豚肉、うなぎ、ねぎ類、大豆製品、ごまなどに豊富です。クロムは大豆製品、きのこ類、魚介類に、マグネシウムはごまなどのナッツ類、大豆製品、青菜類、海藻類に豊富に含まれています。豚肉のしょうが焼きや、青菜のごま和え、魚介類のすり身を使ったハンバーグなどは手軽に作れて栄養バランスのとれたおかずの代表といえます。そしてデザートにフルーツを加えれば、ビタミンCとクエン酸の補給もバッチリです。
 反対にこってりした料理はボリューム満点に見えても、消化が遅く胃がもたれてしまうのでサッカー選手のお弁当にはあまり適しません。またきんぴらごぼうやひじきの煮物など食物繊維が豊富な料理をあまりたくさん食べるのも、腸を刺激するので運動前には控えたほうが良いでしょう。
 
 また同じようなおかずでも、市販のものは安くて満足感を出すために油や調味料をたくさん使う傾向にありますが、手作りのものなら量を調節したり野菜をたっぷり入れることができます。また市販のものには防腐剤などの食品添加物が含まれているので注意しなければなりません。お弁当は持ち運びするものなので腐らないようにすることは大切ですが、自然の食品の防腐作用を利用するといった工夫をすればよいのです。たとえば梅干し、紫蘇、酢、胡椒、カレー粉などのスパイス類には防腐作用や食欲増進作用もあります。
 お弁当箱をあける瞬間の子供たちのわくわくする楽しみを想像して、お母さんも楽しみながらお弁当を作ってくださいね。

おやつ・間食・補食について

  • 2012年05月18日(金)

今回も吉川珠美さんの栄養コラムからです。


みんなが大好きなおやつは楽しみのためのもの。だから多少は体に悪くても仕方ない・・・なんて思っていませんか?もちろん楽しみや気持ちの満足感を与える意味でもおやつは大切ですが、それ以外にも一日三回の食事では補いきれない栄養を補給するという役割があります。つまり、おやつだって食べ方を工夫すれば、必要な栄養素を補うための立派な補食になるのです。

 一般的によく食べられるおやつには、洋菓子、和菓子、スナック菓子などがあります。洋菓子は主な材料に小麦粉、バター、砂糖、卵、生クリームを使っているので自然に高カロリー・高脂肪になってしまいがちです。特にパイやタルト、デニッシュなどの菓子パンは、見た目には生クリームがたっぷりかかっていなくても生地にバターが練りこまれているので注意が必要です。反対にプリンやカスタードクリームが主体のものはカロリーも控えめで卵や牛乳などたんぱく質の補給に役立てることができます。またスイートポテトは糖質とビタミンCの補給ができて持ち運びにも便利なので、練習後に食べる補食としても便利です。
一方、和菓子はエネルギーの多くは糖質で脂肪が少なく、洋菓子に比べてカロリー控えめなのでおすすめです。小豆には鉄分や食物繊維も豊富なので貧血気味な人や、試合前に食欲がないときや試合と試合の間のつなぎの食べ物として利用することもできます。反対にスナック菓子は油で揚げたものが多いのでカロリーの摂りすぎになりやすく、血液をどろどろにしてスタミナを低下させる原因となるのでなるべく摂らないようにするのが賢明です。

また低カロリーの人口甘味料を使ったお菓子やジュースにも注意が必要です。成長期は味覚が形成される最終段階でもあり、食べた時の味と食感で高カロリー食品を認識する能力がつくと言われています。この時期に人口甘味料の味に慣れてしまうと、甘いお菓子やチョコレートなども脳がカロリーが低くて安全な食品として無意識に判断するようになるのです。つまり、人口甘味料はからだに備わったカロリー計算能力を狂わせてしまい、かえって甘いものへの嗜好が強くなる危険性があるのです。

おやつは心の栄養だからこそ、手作りのものを食べてもらいたいものです。同じケーキやプリンでも家庭で作れば砂糖の量を調節してカロリーや甘さもコントロールできるますし、添加物も含まれていないので安心です。材料に果物やヨーグルトなどを加えるとビタミンやミネラルの補給に役立てることもできます。ただし、いくら手作りのおやつだからと言って食べすぎには注意しなければなりません。一番ダメなのはダラダラ食べ続けること。食事のジャマになるだけでなく、常にインスリンが分泌されるので太りやすい体質になってしまいます。せっかくのおやつですから、食べる時間を決めて待つ楽しみも持ちながら、味わって食べましょうね。

食事について

  • 2012年05月15日(火)

管理栄養士の吉川珠美さんの栄養コラムから紹介します。



私たちの体は、すべて食べたものが材料となってできています。特に成長期のサッカー選手にとっては、日々発達する体の材料として何を食べるかの選択は大人よりも重要な問題です。すなわち、彼らが食べる食材は、未来の自分そのものなのです。ただし、残念ながらこれさえ食べていれば大丈夫!といったような都合の良い食べ物はありません。食べ物に含まれる栄養素はたんぱく質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルなどに分類され、それぞれ異なった役割を果たして毎日の活動を支えているのです。

まず、たんぱく質はサッカー選手の体作りに不可欠な筋肉や、皮膚や内臓、血管、ホルモンなどすべての体の基本的な材料となる栄養素です。そして糖質は筋肉が最初に使う燃料としてだけでなく、脳の唯一のエネルギー源として働くので集中力を持続させる働きがあります。脂肪は持久的に燃焼されてスタミナを支えるほか、やる気をおこしたり闘争心を高めるホルモンの材料にもなります。ただし脂肪の摂りすぎは肥満の原因になったり種類を間違うとスタミナを低下させるので注意が必要です。

 一方、ビタミン・ミネラルはたんぱく質や糖質、脂質を利用するために必要な栄養素といえます。料理にたとえると、たんぱく質や糖質、脂質は食材であり、ビタミンやミネラルはコックさんに当たります。いくらコックさんの腕が良くても材料が悪ければ美味しい料理はできませんし、その逆も同じです。良質なたんぱく質や糖質、脂質と、それを利用するためのビタミン、ミネラルがすべて揃って、はじめて健康的な体を作ることができる理想的な食事となるのです。

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しかし5つの栄養素のバランスが取れた献立を考えることはそう難しくはありません。もっとも簡単な方法は、食卓に5つの色をそろえることです。まず、白=主食のご飯・麺類、赤=メインのおかずとなる肉や魚、卵、大豆製品などたんぱく質を補給できる料理を軸として、緑=土から上の野菜、黄色=土から下の野菜、黒=きのこや海藻類といった食材を使った副菜を添えます。この5色の食事を普段から心かげて習慣づけておくと、遠征や合宿の食事がバイキングのときも選手が自分自身でバランスのとれた食事を組み立てることができます。また5色の色が揃った食卓は見た目にも鮮やかで自然に美味しく食べることができます。
食事は心の栄養としても大切な働きをします。体に良い食べ物だからといって、おいしくなかったり、特殊な食べ物であるため日常的に食べられなければ意味がありません。食べたいものが食べれないというストレスが逆効果になることもあります。残念なことに「体によい食べ物は美味しくない」というイメージがありがちですが、むしろ美味しいと感じながら食べることは重要です。それは脳がおいしいと感じることで消化吸収が高まって食べたものの栄養素がより効率的に利用されるからです。

いくら頑張って練習をしても、才能があっても、何を食べるかによってその成果は異なります。大切な試合なのに、食事のせいで実力を発揮できなければどんなに悔しいことでしょう?逆に食べ方を変えることで、スタミナを蓄え、集中力を保ち、怪我を予防し、疲労を速やかに回復して最大限の実力を発揮することができるのです。毎日の食事の中のちょっとした工夫、少しの努力が、実力を引き出してくれるのです。