靴ヒモを結べない少年

  • 2008年11月12日(水)

日刊スポーツに「スポーツ外来 診察室から」と東京厚生年金病院・柏口新二整形外科部長先生の記事が載っています。
その中から、今日はこの記事を紹介します。

『靴ヒモを結べない少年』
今年の夏も大勢のキッズプレーヤーの現場検診をしましたが、サッカー検診で「アレッ」と思うことがありました。靴がおかしいのです。靴がおかしいというより、靴の履き方に問題がありました。サイズが合っていない、かかとを踏んでつぶしていることが多いのは以前からわかっていました。保護者はどうしても成長を見越して少し大きめの靴を買いたくなります。子ども用のスパイクといっても決して値段は安くなく、出費を考えると少しでも長く履いてもらいたいと思う気持ちも理解できます。
今回の検診で気になったのは靴ヒモの絞め加減です。ほとんどの少年が診察の時に靴ヒモを緩めずにスポッと靴を脱ぎ、終わるとトントンと足先を床に当てて履いていました。試合や練習の度に靴ヒモを結び直すかとたずねると約半数が気にしない、時々するが3割、必ず結び直すが2割といった傾向でした。
低学年では靴ヒモを自分で結べる子は例外的で保護者に結んでもらっているようです。1度結ぶとヒモが解けるまでそのままのことが多いようです。6年生になるとさすがに靴ヒモを自分で結べるようになり、試合や練習の前に結び直しているようです。
大き過ぎる靴や靴ヒモが緩いと足がスパイクの中で遊んでしまい、タコができたり、外脛骨(けいこつ)が痛んだりして、せっかくの良いスパイクが生きません。キッズプレーヤーには靴の履き方を教えることもスポーツ指導であり障がいの予防や治療になります。


私も普段、靴ヒモを結んだまま靴を脱ぎ履きしています。そのままでかかりつけの整形外科に行くと先生に靴ヒモをしっかり結ぶように注意されます。以前足首の靭帯を痛めたことがあるからです。しっかりと結ばないと足首に負担がかかります。また捻挫を繰り返します。わかってはいるのですが、つい面倒になってしまいます。
でも子どもたちには、せめてスパイクを履くときはヒモをしっかり結んで、足に靴をフィットさせてほしいですね。以前、試合中にボールを蹴った瞬間、スパイクまで跳ばしてしまった選手がいました。保育園年長児になれば、一対一でリボン結びの仕方を手をとりながら繰り返し教えればできるようになります。ゆっくりと繰り返し、経験させてあげてください。

今を生きよう

  • 2008年11月01日(土)

夜回り先生と言われている水谷修さんをご存知ですか?児童福祉運動家、教育評論家。元高等学校教諭。
少年少女の非行や薬物依存症問題に尽力し、5000人超の青少年と向き合っている、夜間に繁華街をパトロールすることから「夜回り先生」との異名を持つ方です。
菰野町で講演されたこともあります。
毎週月曜日に中日新聞に寄稿されています。その中から、今日は10/13掲載分をご紹介します。

子どもたち、私は、いつも親や先生、私たち大人が君たちについている一番ひどいうそは、「やればできる」だと思っています。これはひどいうそです。どれだけ多くの子どもたちが、このうそを押しつけられ追いつめられたか。哀しくなります。
子どもたち、私が一生懸命野球を練習したら、松井選手のように大リーグでホームランを打つことができますか。私が一生懸命水泳を練習したら、北島選手のようにオリンピックで金メダルを取るとこができますか。当然できません。
子どもたち、私は、決して君たちの夢を壊そうとして、こんなことを言っているのではありません。人は生まれつき、その人によって違う能力が特性として与えられています。ある人は、踊ること。ある人は、野球をすること。またある人は、数学の能力。お年寄りに対する優しさや、礼儀正しさ。お魚を捕ることや、お米を育てること・・・。
君たち一人ひとりには、生まれつき、君一人しか持っていない能力が備わっています。本当の教育の目的は、子どもたちが、自ら持つこの能力に気づき、それを育て花咲かせることを助けることです。しかし、今多くの親や先生、大人たちは、これを見失っています。そして、君たちに知識や運動能力、技術を無理やり詰め込もうとしています。努力すれば、何でもできると。
そして、多くの子どもたちがつぶされていっています。哀しいことです。君たちはどうですか。今、追いつめられ、苦しんでいませんか。追いつめられている子どもたち、苦しんでいる子どもたちにお願いです。立ち止まってみませんか。きちんと、親や先生に、できないことはできないと伝えてほしい。そう伝えることが怖かったら、ただ泣くことでもいいのです。
そして、自然の中に出て、美しいものを探し、先人たちの名著といわれる良い本を読んでみませんか。過去に惑わされ、明日のために、今を走り回ることをやめて、今を大切に、素晴らしいもの、美しいものに触れてみませんか。
〜中略〜
子どもたち、たった一度の人生を、追い立てられ走って生きて何になりますか。きちんと今を生きるのです。そして、今を磨くのです。そうすれば、自然に君の中にある、君だけが持っている素晴らしいものが見えてきます。立ち止まろう。


「やればできる」は一番ひどいうそ・・というのはハッとさせられる言葉でした。使いますよね。この言葉。
親が「やればできる」と言うのは、あきらめない気持ちが育ってほしいという願いがあるからだと思います。自信がない子を励ますときにも使います。
水谷先生は心底疲れてしまって動けなくなり、死を選んでしまった子どもたちを見ているので、「立ち止まろう」と言われるのでしょう。
「頑張れ」「早く」「もっとできる」と子どもたちを追い立てる言葉がたくさんあふれています。せめて家庭の中だけでも、子どもがホッとして安らげる場所をつくってあげたいです。